近畿日本鉄道(近鉄)は、大阪難波駅〜近鉄奈良駅〜京都駅間に新しい観光特急「あをによし」を2022年4月29日(金・祝)から運転開始します。
汎用特急車両として活躍した12200系の4両1編成が約3億3000万円かけて大幅に改造され、高貴な色とされる紫色のメタリック塗装をまとった観光列車に仕上がりました。古都・奈良の正倉院の宝物をモチーフとした天平文様が内外装に使われており、歴史や文化を感じられる移動空間となっています。列車に乗ること自体が目的の旅行、国内各地からの奈良観光に加え、新型コロナウイルス収束後のインバウンド再開も見据えて登場しました。
名称の「あをによし」は、世界遺産や国宝が数多く存在する奈良にかかる枕詞です。座席はゆったりとした2名用「ツインシート」(1・3・4号車)と3〜4名用「サロンシート」(2号車)の2種類で、編成全体の座席数(84席)はリニューアル前の約3分の1に抑えられています。2号車には販売カウンターが設けられ、シェラトン都ホテル大阪特製の「あをによしバターサンド」、大和醸造の樽生クラフトビールをはじめ、奈良にゆかりのあるスイーツやドリンクが取り揃えられます。オリジナル和ハンカチやキーホルダーなど「あをによし」グッズの販売も行われます。
運転日は毎週木曜を除く週6日ですが、ゴールデンウィークなど繁忙期は毎日運転されます。朝は大阪難波駅から近鉄奈良駅を経由して京都駅まで、夕方は逆ルートで京都駅から大阪難波駅まで、それぞれ乗り換えなしで直通運転を行います。そのほか、昼間時間帯に京都駅〜近鉄奈良駅間で2往復の運転があります(時刻表は下表を参照)。なお、現行ダイヤで土休日に運転している6本の特急列車は、2022年4月29日(金・祝)以降は「あをによし」に置き換えての運転となります。
「あをによし」の乗車には乗車券のほかに特急券および特別車両券(大人210円・小児110円)が必要です。なお、ツインシートは2名での利用が基本ですが、小児1名分の特急券・特別車両券を別途購入することにより1名利用が可能となります。指定席は乗車日の14日前10:30から発売が開始されます。近鉄によると、運転初日となる2022年4月29日(金・祝)の指定席は全6列車分がわずか20分で完売となったそうです。